昨年末に発売した自著「元テレビ局員がやさしく解説 SNS炎上防止大全 広報・SNS運用者が知っておくべき対策と対応」(ごきげんビジネス出版)について、教育心理学の専門家である元客員教授がレビューを寄稿していただきました。以下にご紹介します。
本書は、SNS上で起きる「炎上」についての対応方法などについて解説されたものであるが、日常の生活の中で起きる「炎上」、すなわち、トラブルやリスクなどへの対応方法に活用できる知識であるとも思った。
「目次」の前に、各章の概要説明があったため、興味をもって読み進めることができた。また、各章にわたり、説明するために取り上げられた事例のほとんどが、近年、現実に起きていた「事件」であったため、迫力を感じながら、ここでも、読み進めることができた。特に、第1章では、現実にあった炎上事件、しかもテレビでも報道されていた事件のため、自分の記憶の整理にもつながった。第5章「SNS別傾向と対策」では、まさにタイトル名の通り、各SNSの対策方法を知ることができ、大変、参考になった。
以前、心理学的支援の技法である「解決志向アプローチ」という理論を学んだ。ビジネスの分野でも活用されていると聞いているが、ごく簡単に説明すれば、「問題・原因を追求するのではなく、建設的な解決を追求する。」技法である。この技法では、問題・原因を追求する話し合いを「問題トーク」と呼び、建設的な解決を追求する話し合いを「解決トーク」と呼んでいる。
本書第2章~第4章で検討された「炎上」の原因などは「問題トーク」、対応方法などは「解決トーク」に似ていると思った。
分野は異なっても人間社会で起きる現象の原因や対応は、用語が異なるだけで、基本は同じようなことが考えられていると、以前から感じていた。 問題を追求していくことや、原因を明らかにしていくこと(問題トーク)は、大切なことであるが、問題トークだけに終始するのではなく、著者が「おわりに」で「炎上がなくなり、すべての人が互いにリスペクトしあう社会が実現することを心より望んで、本書をおわりたいと思います。」(本書:p.211)と述べたように、日頃の人間関係を円滑に進めるため、解決トークも含めた、敬意あふれるコミュニケーションをすることが大切だと、本書を読んで、改めて、思った。
本書で得られた知識は、SNS上で起きる「炎上」への対応だけでなく、日常の健全な人間関係の構築のための知識としても、是非、活用してみたい。
